お気に入りの服に毛玉ができると、見た目が気になってすぐ取りたくなりますよね。毛玉は着用中や洗濯中の摩擦で表面の繊維が毛羽立ち、絡み合ってできるものです。完全に防ぐのは難しいものの、服同士のこすれや洗濯時の負担を減らせば、毛玉ができにくい状態を保ちやすくなります。
すでにできた毛玉は、引っ張ってむしらず、服を平らにして生地に合う方法を選びましょう。洗濯表示や道具の取扱説明書を先に確認し、薄手の生地や装飾のある服など、傷める心配がある場合は無理に処理しないことが大切です。この記事では、毛玉ができる仕組み、日常でできる予防、毛玉を取るときの注意点を順に紹介します。
服に毛玉ができるのは摩擦で繊維が絡むためです

毛玉は、衣類の表面が着用中や洗濯中にこすれて毛羽立ち、その毛羽が絡み合って小さな球状になったものです。繊維検査機関では、この現象を「ピリング」と呼んでいます。脇の下や袖口、バッグが当たる肩や腰まわりなど、服や持ち物とこすれやすい部分は毛玉が目立ちやすくなります。
毛玉は、ある日突然、生地の中から現れるわけではありません。最初は表面に細かな毛羽が出て、動作や洗濯でそれが絡み、少しずつ塊に育ちます。毛玉ができたあとも周囲の毛羽が加わることがあり、やがて生地の表面から自然に離れる場合もあります。目立つ毛玉を引っ張ると、周りの繊維まで一緒に引き出して生地を傷めることがあるため、むしらないようにしましょう。
毛玉の原因は摩擦だけとは限りません。糸の作り方や撚り、生地の編み方・織り方、表面の凹凸、仕上げ加工なども関係します。そのため、服の素材名だけで「この素材なら毛玉ができない」「この素材が一番できやすい」と一律に決めることはできません。同じ繊維を使った服でも、生地や糸の構造が違えば毛玉のでき方は変わります。
たとえば、短い繊維を撚り合わせた糸は表面に毛羽が出やすく、擦れると毛羽が絡んで毛玉になることがあります。一方、表面に毛羽が少ない長い繊維の糸でも、強くこすれて繊維が切れると毛羽立つことがあります。ニットや凹凸のある生地、糸の撚りが甘い生地は、構造によっては毛玉ができやすい傾向がありますが、これは個々の服の素材や加工を確認せずに判断できる順位ではありません。
また、毛玉の「できやすさ」と「目立ちやすさ」は別の話です。毛玉ができても生地から取れやすければ気づきにくい場合があり、反対に、毛玉が残りやすい生地では少数でも目立つことがあります。タグに書かれた素材だけでは予測しきれないため、着用や洗濯のあとに、どの場所に毛羽立ちが出ているかを見て、その服に合う手入れを考えましょう。
素材名だけでは決まりません
毛玉のでき方は、繊維の種類だけでなく、糸の撚りや生地の編み方・織り方、加工、着用時の摩擦などが重なって変わります。素材表示は参考にしつつ、実際に毛羽立つ場所と服の状態を見て判断しましょう。
着るときは服や持ち物とのこすれを減らします

着用時の摩擦をゼロにすることはできませんが、毎回強くこすれる状態を避ける工夫はできます。毛玉が気になり始めた服は、まずどこに発生しているかを見てください。脇や袖口なら腕の動き、肩や腰ならバッグのベルトや上着との接触が関係している可能性があります。特定の場所に集中している場合は、その部分への負担を減らす方法を探せます。
- 肩や腰にバッグのベルトが当たる位置を確かめます。
- 重ね着した服同士が強くこすれる組み合わせを見直します。
- 袖口や脇など、繰り返し擦れる部分の毛羽立ちを早めに確認します。
- 着用後は表面を軽く見て、毛羽や引っかかりを見つけたら状態を確認します。
同じ服を続けて着ると、摩擦や洗濯の負担が短い期間に重なることがあります。服を休ませる日を作り、着用後に湿気を飛ばしてから収納するのも、衣類全体をいたわる方法のひとつです。ただし、休ませれば毛玉を防げると保証できるわけではありません。素材や編み方、着用状況によって状態は異なります。
毛羽立ちや引っかかりが見つかったときは、毛玉ができる前の段階かもしれません。繊維を指で引っ張ったり、粘着テープを何度も強く押し当てたりすると、かえって表面を傷めるおそれがあります。まずは服の状態を確かめ、無理に毛羽を取り除かずに、洗濯方法や保管のしかたを見直しましょう。
こすれる場所から見直す
毛玉が脇や袖口、バッグのベルトが当たる部分などに集中しているかを確かめます。発生箇所が分かると、重ね着や持ち物との接触を見直す手がかりになります。
洗濯前に表示を見て、衣類同士の摩擦を抑えます

洗濯中も衣類同士が動いてこすれるため、毛玉が気になる服は洗濯前の確認が役立ちます。まず服に付いている洗濯表示を見て、その衣類にできる洗濯方法と扱い方を確認してください。洗濯表示は繊維製品に付けられ、洗濯・乾燥・アイロン・クリーニングなどの処理方法を示します。素材名だけで洗い方を決めず、表示を優先しましょう。
洗濯前の確認手順
- 衣類表示を見る
- 洗濯機の説明書を見る
- 表示に合う準備をする
洗濯表示では、家庭で洗えるか、手洗いか、クリーニングが必要かを確認します。表示が読めない、タグがないなど判断できない場合は、無理に家庭洗濯を始めず、購入店やメーカーへ問い合わせてください。
洗濯機ごとに使えるコースや洗濯ネットの扱いが異なります。衣類の表示に合う範囲で、使用している洗濯機の取扱説明書に従いましょう。
毛玉や毛羽立ちが気になる服を裏返す方法や、デリケートな衣類をネットに入れる方法は、洗濯機メーカーが案内する一例です。すべての服に同じ方法が合うとは限らないため、衣類表示と使用機器の説明書を合わせて確認してください。洗濯物の適正量も機種によって異なるため、洗濯機に示された範囲で洗います。
洗濯ネットを使う場合は、服の大きさに合うものを選び、衣類を無理に押し込まないようにします。ネットや洗濯機の説明にサイズや入れ方の指定があれば、それに従ってください。
洗濯コースは「毛玉ができにくそうだから」という理由だけで決めないことも大切です。衣類表示で禁止されている洗い方を選ぶと、縮みや型崩れなど別の損傷につながる場合があります。弱水流や手洗いコースが適切かどうかは服によって異なります。洗濯表示に合う選択肢の中から、洗濯機の説明書と衣類の状態を見て決めてください。
柔軟剤は、毛玉対策として使用量を増やさず、製品表示にある量を守ります。繊維検査機関の解説では、洗濯時に過度に使用すると毛玉が発生しやすくなる場合があるとされています。
洗濯後は衣類表示に合う方法で干します。取り出すときに糸の引っかかりや生地の傷みを見つけても、無理に引っ張らないでください。
できた毛玉は服を脱いで平らにしてから取ります

毛玉を取るときは、服を脱いでテーブルなど安定した平らな場所に置きます。着用中は生地が動きやすく、刃物や電動器具が肌や服に触れるおそれがあるためです。しわやたるみを軽く整え、毛玉と生地の境目が見える明るい場所で作業しましょう。
毛玉取り器を使う場合は、まず手元の製品の取扱説明書を確認します。使える衣類や当て方、避ける箇所などは製品ごとに異なります。説明書にない使い方を試したり、使用可能か分からない衣類に使ったりしないでください。
毛玉取り器を使う前の確認
- 説明書で使用可否を確認
- 衣類を平らに整える
- 異変があれば使用を止める
使用できる衣類だと確認できた場合も、説明書に従って目立たない箇所から試します。生地が引き込まれる、糸が切れる、毛羽が広がるなどの変化があれば止めてください。
手で生地を引き伸ばしすぎず、しわやたるみだけを整えます。縫い目やボタン、装飾の近くは器具を当てないよう注意します。動かし方や当て方は機種ごとに異なるため、手元の説明書に従い、強く押し付けずに作業しましょう。
強く押し付けると、毛玉だけでなく生地の表面まで削ることがあります。処理中や処理後に生地が薄くなる、編み目が広がる、糸が切れるなどの変化があれば、それ以上続けないでください。
小さいハサミを使う場合は、毛玉だけを生地から浮かせ、刃先を衣類に向けずに、毛玉の根元を少しずつ切ります。東京都クリーニング生活衛生同業組合は、毛玉を引っ張らず、はさみなどで取る方法を案内しています。ただし、ハサミで安全に取れるかどうかは、毛玉の大きさや服の編み目、手元の道具によって変わります。生地が薄い、毛玉と生地の境目が見えない、刃先を入れる余裕がない場合は、無理に切らないでください。
道具を使うときの注意
カミソリや家庭用の刃物は刃が生地に触れやすく、服を傷つける可能性があります。衣類への使用が明記されていない道具は避け、毛玉取り器も手元の説明書で使用できる衣類を確認してください。
生地が薄い服や装飾のある服は処理を止めます

毛玉取り器やハサミで処理を始める前に、その服が道具に耐えられる状態かを確かめましょう。毛玉を除く作業では、表面の繊維や糸に道具が触れることがあります。生地が弱っている場合や構造が複雑な場合は、毛玉と一緒に生地まで切る、削る、引き出すおそれがあります。
- 薄くなった箇所、穴、すり切れ、糸切れがすでにある服
- 起毛や毛足があり、どの毛が毛玉か見分けにくい服
- 編み目が大きいニットや、糸が浮きやすい編み地
- 刺繍、ビーズ、スパンコール、レース、装飾ボタンがある服
- ループ状の糸、飾り糸、異素材の切り替えが毛玉の近くにある服
これらに当てはまっても、すべての服が必ず傷むと決まっているわけではありません。反対に、見た目が丈夫そうでも、毛玉取り器を使えるとは限りません。服の説明書やメーカーの案内に使用可能な範囲が明記されていなければ、自己判断で強く処理しないことが安全です。
処理前に状態を確認
薄くなった箇所や穴、浮いた糸、起毛や装飾が毛玉に重なっている服は、道具が生地に触れやすい状態です。傷める心配があるときは処理を止めて、購入店・衣類メーカー・クリーニング店へ相談しましょう。
迷ったときは、まず購入店や衣類メーカーへ、素材・状態・毛玉の場所を伝えて相談してください。クリーニング店に持ち込む場合は、毛玉を取る作業に対応できるか、服にどのような負担があり得るかを先に尋ねると、依頼するか判断しやすくなります。毛玉取りの対応や仕上がりは店舗や衣類の状態によって異なるため、処理を依頼すれば元の状態に戻ると考えないようにしましょう。
相談先が見つからず、着用に支障がない程度の小さな毛玉であれば、そのまま着る選択もあります。服の表面を完全に新品の状態へ戻すことを目指すと、毛玉取りを繰り返して生地を薄くしてしまう場合があります。見た目をどこまで整えたいかと、服を長く着るために残したい生地の状態を比べて、処理の範囲を決めましょう。
毛玉取りで迷いやすい点を確認します

毛玉を取るか迷ったときは、服を傷めないことを優先して判断しましょう。ここでは、引っ張るリスクや洗濯表示の見方、道具の選び方など、作業前に確認したい点をまとめます。
毛玉を引っ張るとどうなりますか?
周囲の繊維や糸まで引き出して、生地を傷めることがあります。毛玉を指でむしらず、服の状態と道具の説明を確認してください。
毛玉は毎回取ったほうがよいですか?
必ず毎回取る必要はありません。目立ち方や着用への支障を見て、必要な範囲だけ処理します。生地を傷めそうなら、そのままにする判断もできます。
洗濯表示はどこを見ればよいですか?
服に付いている洗濯表示のタグを確認します。記号の意味が分からない場合は、消費者庁の案内やメーカー・購入店で確認してください。
裏返して洗えば毛玉は防げますか?
裏返しは洗濯機メーカーが案内する方法の一例ですが、すべての毛玉を防ぐ保証ではありません。衣類表示と使用する洗濯機の説明書に照らして取り入れます。
毛玉取り器ならどの服にも使えますか?
いいえ。使える衣類や手順は製品ごとに異なります。取扱説明書で確認し、使用可否が分からない服や傷みが気になる服には使わないでください。
予防は摩擦を減らし、除去は服の状態に合わせます

毛玉は、着用や洗濯の摩擦で生地の表面が毛羽立ち、繊維が絡むことでできる現象です。素材名だけで毛玉のできやすさを決めつけず、毛玉が出ている場所や服の構造を見て手入れを考えましょう。
覚えておきたいこと
予防では着用・洗濯時の摩擦を減らし、除去では衣類と道具の説明を確認します。生地を平らにして慎重に作業し、傷める心配があれば止めて相談しましょう。
着るときはバッグや重ね着によるこすれを見直し、洗濯では表示に沿った方法を選びます。毛玉はむしらず、生地に負担がかかると感じたら作業を止めましょう。




